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前川喜平の「奇兵隊、前へ!」(番外編)筆者、前川喜平について

 この「奇兵隊、前へ!」を読まれている方は、おそらく「筆者、前川喜平とは、いったいどんな人物なのだろう」と思い巡らすであろう。今回は、番外編と題して奇兵隊員から見た筆者の姿をみなさんにご紹介したい。

 これまでのシリーズをご覧になればわかるように、前川課長の言説は非常に挑発的で過激である。従来であれば、公務に携わる文部科学省の一職員、しかも義務教育行政をまとめる初等中等教育局の筆頭課長が、インターネット上で総務省やマスコミへの批判を繰り返し主張することなど、ありえないことだ。「言い過ぎではないか」「やり過ぎではないか」・・・多くの方がこう思ったのではないだろうか。ぶち明けてしまえば、文科省内でも、「弁えていない」と前川課長のやり方に異論を唱える者もいる。
 しかし、過激で挑発的であることは、前川課長は百も承知である。たとえば、(その15)の末尾では「クビと引き換えに義務教育が守れるなら本望である」と語る。この言葉に象徴されるように、前川課長は、自身の発言内容の重さ、影響の大きさについて認識している。にもかかわらず、身分云々を超えても言わずにはいられない、大きな思いを抱え、このブログで吐露する。すべてを覚悟で、言責を負って主張しているのだ。

 職を賭けてまで、何故、このネット上で言わねばならないのか。みなさんには、ぜひこの理由、この状況についてにこそ、思いを馳せていただきたい。そこに、この三位一体改革の問題が潜んでいるようにも思えてならないからだ。ことは切実で重大だ。

 まず、前川課長の職歴について。昭和54年に文部省に入り、文部大臣秘書官、文化庁宗務課長、中央省庁等改革推進本部参事官、初等中等教育局教職員課長を経て財務課長に着任したのが平成13年7月。以後丸3年にわたり、財務課長として少人数指導など「個」に応じた指導の充実を図る第7次教職員定数改善計画の実施、公立学校への外部人材の導入を進める「学校いきいきプラン」の策定、教員給与制度に関する国立学校準拠制の廃止と地方分権、少人数学級実施に関する地方裁量の大幅な拡大、市町村が独自に教職員を任用する特区制度の実施、義務教育費国庫負担制度について国による総額保障を維持しつつ地方の裁量を最大限に拡大する総額裁量制の導入など、義務教育の条件整備と現場の自由度の拡大に努めた。この間に三位一体の改革が開始され、前川課長は総務省、財務省などとの厳しい折衝を強いられることとなった。平成16年7月、初等中等教育企画課長に就任し、現在に至っている。いわば、義務教育費国庫負担制度の重要性と総額裁量制の内容について熟知した者として、前川課長の右に出るものがいないほどだ。これまでの三位一体と義務教育費国庫負担制度の問題に関わってきた第一人者である。
 実際の前川課長の性格は、温厚でフランクだ。何よりも個人の尊重と自由を重んじている。前川課長の周りにはいつも多くの人が集まり、地方の教育関係者からの信望も厚い。その性分ゆえか、初等中等教育企画課の職員はのびのびと仕事をしている。

 さて、三位一体の改革。もうまもなく来年度に向けた決着がつく。時間の問題だ。しかし文部科学省は、これまで十分にその方針を主張をすることができてきたのか。もちろん、これまで何度も国庫負担制度の堅持を主張してきた。にもかかわらず、前川課長が繰り返すように、その中身やスケジュールについて審議してきた重要な会議や話合いに、文科省は関与できないでいた。文科省は、経済財政諮問会議において主張を聞いてもらう機会が少ないため、その主張を理解してもらうにも、相当の努力が必要なのだ。
 一方の総務省や財務省は、経済財政諮問会議のメンバーとして、三位一体改革の重要な決定過程に必ず組み込まれる。総務省、財務省サイドは、総理とも会う機会が恵まれているが、文部科学省はかやの外に置かれている。同じ政策省庁と言っても、三位一体の改革においては、総務省や財務省がJ1なのに対し、文部科学省はJ2状態なのである。ここに大きな問題があるのではないだろうか。
 文科省はあまり発言の機会が設けられていない。だから教育行政そのものもが後回しにされているというのであれば、これは憂慮すべき事態である。そんな過程で、専門官庁が不在で実態がふまえられることなく義務教育の在り方が決められたとするなら、どんなふうにその結果を国民に説明できるだろうか。

 マスコミ。主要紙各社には、各省庁に記者クラブが置かれ、担当の記者がその記事を書く。聞くところによると、総務省関係の記事は総務省担当の記者が書くから総務省寄りに、文科省関係の記事は文科省担当の記者が書くから文科省寄りの内容になるという。さらに、文科省担当の記者は年次が低いので先輩総務省担当記者の記事のほうが記事になりやすいという。もしこれが本当であるならば、読者はこのような事態をどう受けとめるだろうか。

 これらの事態を懸念して前川課長は考えたのである。省としての発言の機会が絶対的に少ないのであれば、マスコミで報道されることに誤解やバイアスが多いというのであれば、自ら、自分の言葉で世論に訴えるしかないと。三位一体改革における政治過程の実態と、専門官庁として義務教育の重要性を、国民に知ってもらわなくてはならないと。
 前川課長は、世論に訴えるための発言の場を探していた。本、週刊誌、月刊誌、新聞・・・・。新聞では、通常は行政官が語ることはないと断られた。某月刊誌からも断られた。そこで考えられたのがこのブログサイトである。
 もはや公式の場で言う時間も機会もない。しかし、なんとしても教育行政を専門に預かる公の立場として、教育行政に重要なことをインパクトを持って、最後まで言い続けなければならない。そうした理由で、このように挑発的な文章の体裁にならざるをえないのである。

 そして前川課長は、刺激的であるものの、わかりやすい言葉で、難解な義務教育と三位一体改革の問題をわかりやすく説明する。それも決して教育論の観点からだけではない。国・地方の税財政制度や地方自治制度をも含めた体系的な提言をしている。いったい今、この日本で、どれほどの人が、傍観者・第三者としてではなく当事者として、ここまでに教育と地方や現場の自主性をより深く考え、政策提言しているだろうか。

 「義務教育費国庫負担制度を守ることができるのなら、この職など惜しくない」生半可な気持ちで口走ることは決してできない言葉だ。これまで、この前川課長のこの言葉を何度聞いたことだろう。子どもたちを思い、教育への情熱を燃やす者であれば、その重たさに心打たれるのではないだろうか。

 奇兵隊は、ある一人の価値観や、省益といったちっぽけなものに拠っているのではない。また、奇兵隊には他にも隊員がいる。決して前川課長一人が暴走(?)しているわけではない。他の機会でこれらの隊員について紹介したい。

  奇兵隊は、義務教育を守るために、教育の現場を守るためにこれからも戦い続ける。
 12月1日に発売される「月刊現代 1月号」にも、期待されたい。(つづく)


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